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しっきーのブログ

ひろいこころで\(^o^)/

【スーパーマリオラン評価】ゲームアプリを「無料で当然」と思ってしまうのは無理もない

Super Mario Run(スーパーマリオラン)のカスタマー評価が低い。任天堂の株価まで下がっている。


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ざっとレビューを見た感じ、かなり理不尽な低評価のつけかたをするユーザーがいる一方、「やってないけどマリオ大好き」みたいなコメントで星5つの評価をしてる人もいて、平均して星2つだから、評価はかなり低いと言わざるを得ない。母数が母数だし、一部のクレーマーのせいとも言えないと思う。

まあ、あのLINE(ライン)だってストアの評価はかなり低いので、低評価を気にするかどうかは考え方の問題。


「無料」カテゴリにあるのにほとんどチュートリアルしか無料で遊べず、他の「無料」ゲームに慣れた人が文句をつけてる情況だけど、これに関しては怒ってるほうに分があると思う。

おそらく、任天堂以外の会社がマリオランと同じことをやってもカスタマー評価は低くなるだろうが、マリオランを擁護している人達が、アプリを出したのが任天堂以外だった場合、同じように擁護していたとは思えない。


基本料金無料のゲームは、そのほとんどが、金使ったほうが有利にはなるけど無課金でも最後まで遊べるようになってる。
それが当たり前の時代に生きてる子が、マリオランみたいに入り口で扉を閉められたら、そりゃ怒るでしょ。

買い切りの課金以外にステージを遊ぶ方法を用意しないなら、最初から有料アプリにして、無料アプリを「体験版」として出すのが正当なやり方だったと思う。

ソフト(情報)は無料が前提

「盗みを働いてはいけない」というのは、特定の習慣や社会に左右されにくい倫理観だろう。
どのような文化圏でも、人の持ち物を盗むのはよくないことだと、多くの人が考えていると思う。

じゃあ、「情報を無料で享受するのは良くない」という考え方は、自然で普遍的なものだろうか?

情報材は、物理材と違って、複製に必要なコストが著しく低い。
ハード(物理)にはお金がかかるけど、ソフト(情報)にはお金がかからない」という感覚を素朴に持ってる人は多いだろうし、それはおかしなものではない。


テレビを買うにはお金がかかるけど、番組は無料で見れる。
スマホ本体や通信インフラにはお金がかかるけど、アプリは無料でインストールできる。

ソフトは、基本的には無料が前提だ。


何が言いたいかと言うと、ソフトにハードの倫理を適用するのは無理があるってこと。

新聞だって昔は回し読みしてた。「雪見だいふく」を一つ頂戴って言われたらキレるけど、読み終わった「ジャンプ」を見せるのは当たり前。それが物理材と情報材の違いだ。

コンテンツを売るのは簡単じゃない

コンテンツが「物理」と結びついている場合は、他の物理材と同じように売れるので、話はわかりやすい。
「ゲーム機」や、それ用のソフトは、物理的なものなので、定額で売るビジネスモデルが成り立っていた。

いま起こっているのは「コンテンツのデジタル化」で、かつてはハードと結びついていたものが完全に情報材になってしまったから、今までのように「売り切り」でやっていくのは難しくなってる


映画やアニメなどの「視聴作品」は、ゲームよりずっと前から、情報材であることの困難の中でやってきた産業だ。

例えば「映画館」は、情報材を物理材にする仕組みだと言える。
高い金払ってるのに延々と宣伝を見せられたりなど、目の肥えた人からすると不合理なところが多いかもしれないが、そのような不合理さを受け入れる人がいなければ、短時間に金と人材を圧縮する映画のようなコンテンツは成り立たなくなってしまう。


また、日本のテレビアニメは、基本的には無料で見せて、そこで得た人気を、グッズやDVD(物理)という形で収益にするビジネスモデルだ。

例えば、2015年のアニメ業界の狭義の市場規模は2007億円で、関連商品などを含めた広い意味での市場規模は1兆8225億円だった。途中に挟む広告費よりも、グッズなどの売り上げに頼っている。
(参考:産業統計の調査・発表 | 日本動画協会



商用のコンテンツの競争は厳しく。代替品が無限にあるようなものなので、産業としてやっていけなければジャンルが消えたり生まれなかったりする。現に、日本の漫画やアニメのような盛り上がりは他国にはない。
なぜ日本の二次元コンテンツが上手くやっていけるのか、みたいなことは以前書いたので気になる人はどうぞ。


あと、そこらへんのことに関しては、クリス・アンダーソンの『フリー』などの本を読むのもいいと思う。

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物理材はどういう価値があるのか事前にある程度わかるけど、まったく知らない情報材に金を払うやつはまずいない。

「有料」でモノが売れる場合は、何らかの信用があるか、宣伝に使える金があるかのどちらかだ。
だから、大作ゲームはナンバリングタイトルばかりになる。収益が見込める新規スマホゲームはテレビCMを打つ。

それ以外の場合、視聴者がコストを支払わずに見れることが前提だ。

HuluやNetflixのような動画配信サービスは、月額課金で見放題という形になってる。
漫画雑誌なんかもある意味では同じ仕組みで、「同じ雑誌に乗ってるからとりあえず見てみるか……」という導引をしている。ほとんどの消費者は前評判の確立しないものにお金を払おうとは思わない。

「マリオラン」の売り方は失敗だと思う

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ほとんど体験版があるだけの有料アプリなのに、「無料」のカテゴリで売っていて、これは非難されても仕方ない部分があると思う。

もちろんApple Storeに、インストールが「有料」か「無料」かの二択しかないわけで、プラットフォーム側の問題と言えなくもない。

ただ、プラットフォーマーだった任天堂が、ソフトだけを提供するという判断にはけっこうな時間を要したわけで、やっと決断したのにこういう形にするのは、ちょっと子供じみた拘り方のように感じる。

スマホアプリでやるって決めたなら郷に従うべきだし、「ゲームは最初から金払って遊ぶもんなんだぜ」って言いたいなら最初から有料で売るべきだった。ブランドのある「マリオ」ならそれもできたわけだし。


基本料金無料なら、多くの人はステージ3くらいまでは普通に遊べるのだと思ってただろうし、他の基本料金無料ゲームと同じ枠で売って、1ステージのボス前までしか遊べないなら、文句を言われるのが当然。こればっかりは任天堂が悪い。

任天堂としては、続けたくなるタイミングに課金ポイントを置くのが嫌で、ゲームシステムにお金が絡んでこないやり方をしたかったのだろう。

でも、課金の上限が数千円から数万円に落ち着いてる『ハースストーン』や『ベイングローリー』のような良心的なゲームだって最近は流行してるわけだし、もっとやり方はあると思う。
変にかたくなになって、それが悪い方に向かってるように感じる。


スマホネイティブのキッズ達からは悪い印象を持たれただろうし、「ゲームとはそもそも……」みたいな正論っぽいことを言ってもお説教以上のものにはならないと思う。


マリオランの内容自体がそこまで悪いわけではないと思うので、本命のスマホ版「どうぶつの森」で最高のパフォーマンスを発揮してくれたら嬉しいな。

俺の荒んだ心を癒してくれ!

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ネットでいいものを勧めるのは大事

ちなみに、「ゲームには金が払うのが当たり前!」と主張している人を腐したいわけじゃないよ。僕も心情としてはそっち寄り。


多くのコンテンツが情報材になったとき、Apple StoreやGoogle Playを見ればわかるけど、膨大なタイトルが同じ場所に並ぶことになる。
「置き場所」が限られていた物理材の時代には、何かしら識者のチェックを通過したものだけが市場に出回っていた。だから、どの商品にも一定の信用があった。
それに対して、ゲートキーパーの働かないネットが「ゴミばかり」と言われるのは仕方ないところがある。

信用のないコンテンツが大量に並ぶ情況では、何らかの選定機能が必要になる。

NetflixやSpotifyは、ユーザーの視聴履歴や好みから、次のおすすめを紹介する「レコメンド機能」を発展させようとしている。一方で、HuluやApple Musicは、中の人が良いと思うものをピックアップする形でやってる。やり方はいろいろある。

何が言いたいかと言うと、個人レベルでも「いいぞ!」と言う人がますます必要だなってこと
いいものをいいと言っていかないと、漫画アプリの広告のような、短絡的に人を惹きつけるようなものばかりが生き残ってしまう。

だから、「マリオランめっちゃ面白いから課金してやってみたほうがいいぞ」と言うのも大切なことだと思う。僕は任天堂が好きだし、任天堂のスタンス自体は評価されてほしい。

Super Mario Run

Super Mario Run

  • Nintendo Co., Ltd.
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