読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

しっきーのブログ

ひろいこころで\(^o^)/

「ふぅチャンネル」から学ぶ嫌儲の歴史

 人気ゲーム実況者のふぅさん。「ふぅチャンネル」開設おめでとうございます。ついに有料チャンネル解禁ですね! エイプリルフールネタじゃなかったみたいですね!

http://ch.nicovideo.jp/Fooooooooon/blomaga/ar1000661

 でも、おそらく今後はかなり動画が荒れると思います。


 ふぅさんは脳死キッズ相手に有料チャンネルで金稼ぎするアイドル実況者をずっと批判し続けてきた実況者です。ニコニコでの人気を収益化する人が増えてきて、その流れに対抗するたった一人のゲーム実況者、というスタンスで自己ブランディングしてきました。


 ふぅさんは単独の再生数で言えば、ニコ動のゲーム実況でトップを争う数字です。ただ、それはニコニコのリア充化の潮流に反対する勢力を味方につけてきたからの数字であって、素のふぅさんの人気がどれくらいのものなのかはよくわかりません。まあそれでもかなりの上位ではあると思いますが。


 金儲けする実況者を嫌う人達を、「嫌儲」なんて言ったりしますよね。今では嫌儲は絶滅危惧種ですが、ゲーム実況の黎明期においてはほとんどの視聴者が嫌儲……というよりは嫌儲的な価値観が当たり前だったのです。ざっと嫌儲の歴史を振り返ってみますね。


嫌儲板

 嫌儲の語源は2ちゃんねるです。2ちゃんスレを見やすく編集するまとめサイトが広告を貼って収益を上げ始め、そのためにスレの改変みたいなことをやっていたので、元々の2ちゃん民から嫌われるようになりました。俺たちの書き込みで金儲けしやがって……みたいな感情もあったのでしょう。

 そこでニュー速(嫌儲)板が作られ、そのスレはまとめサイトへの転載を禁止。もし無視して嫌儲板の書き込みをまとめたサイトがあれば、スレ民がこぞって潰しに来るという恐ろしい場所ができました。


ゲーム実況黎明期

 なぜニコ動のゲーム実況で嫌儲文化が強かったかと言うと、企業の著作権であるゲームを勝手に使わせて貰っている立場なのだから、そこから利益を得るなんて言語道断というのがあったのでしょう。というより投稿者からしてもゲーム実況で金を稼ごうなんて発想がなかっただろうし、ただ楽しいからという理由で動画が投稿されていた牧歌的な時代でした。


塩と胡椒DVD問題

 2011年末のコミケで、有名実況者の塩さんと胡椒さんが自分たちの温泉旅行などを録画したDVDを売り、大炎上。その是非について議論が噴出しました。コミックマーケットという著作権違反がまかり通ってるような場所で、ゲームとは無関係の旅行DVDをファン向けに売るという、今の基準からすると「一体何が問題なの!?」という案件ですが、間接的にしろ、ゲーム実況で得た人気を金に還元した点で、ユーザーからのものすごい怒りを買ったのです。彼女が特定されそうになったり、「塩の許可とったの?」という言葉も生まれました。

 塩さんは今も普通にやってればチャンネル持ってたと思うけど、DVD騒動からは活動が自粛気味になってしまいました。


企業の公認でぐぬぬぬぬぬ

 しかし段々と、ゲーム会社様のほうもゲーム実況の宣伝効果に注目し始め、もともとはボカロなどのオリジナルコンテンツを作るユーザー向けだった「クリエイター奨励プログラム」が、ゲーム実況でも使えるようになっていきます。今では多くのゲームを、新作も含め堂々と実況できる……というよりそれが奨励されるようになりました。再生数に応じて収益も入ります。

 企業側の許可があるから、嫌儲民もおとなしくならざるをえません。塩は犠牲になったのだ。


マリオメーカー問題

 そして、2015年の10月にふぅさんが「マリオメーカーにたった一人で挑んだ実況者のラジオ」という動画を投稿します。「金につられてアイドル化した実況者はつまらないから死ね!楽しかった俺たちのニコニコを返してくれ!」という内容です。この件に関しては僕もかつて記事を書きました。


ふぅチャンネル開設

 そしてふぅチャンネルの開設を4月1日に発表しました。みんな「アイエエエ!」って感じだと思います。僕もエイプリルフールネタだと思っていたのですが、そうではないらしく、めっちゃビックリしました。今までのふぅさんがとってきたスタンスと180度違うことをやってしまったからです。


 この動画なんかを見れば、手のひら返しの凄まじさがわかります。



 2ちゃんやニコニコのような匿名文化は、負け組の居場所のようなところがありました。そのような匿名文化のアイデンティティはアンチリアルです。2ちゃんは色々な意見があるにしろ、全体的な論調はマスメディアのアンチでした。ニコニコ動画も、リア充になれない人達の仲間意識のようなものがコミュニティの空気を形作っていました。


 そして、嫌儲が消える過程は、匿名インターネットが日陰者の居場所ではなくなってきたことを物語っています。権利者から承認され、ネガティブな言葉が一掃され、リアルで人気の出るような振る舞いがネットで力を持つようになってきた。つまり、ネットが現実の逃げ場ではなくなってしまった。


 そのような変化は、みんな認識しているだろうし、それでも楽しめる人も、それを嘆く人も、その場所から去っていく人もいます。

 僕も以前から言ってきたように、日陰者文化がウェイ達に駆逐されていく流れは止められない。

 そしてふぅさんは、そのような流れに反対するスタンスを明確にすることで、同じ考えを持った勢力を味方につけてきました。だから、今回のふぅチャンネルの開設は、ニコ動史上例を見ないレベルの手のひら返しなのです。


 別に、ふぅさんが「やっぱりお金には勝てなかったよ……」となるのは仕方がない。目の前に数千万が転がってるようなものだから、目を逸らし続けろというのも酷でしょう。むしろ今までよく頑張ったねと言うべきです。


 ただ、「これから大丈夫かなあ?」というのはあります。

 ニコ動では、これも日陰者的な文化なのですが……無駄な努力とか才能の無駄遣いが尊ばれるところがあって、かなりゲームをやりこんで動画をつくるふぅさんの実況スタンスもその文脈を踏まえたものだと思います。お金を貰えるのにそれをパリィして、一銭にもならないのにもかかわらず相当なやりこみ動画を作ってしまう、みたいなところに、応援したくなる部分があったわけです。

 チャンネル名を「賢者の手記」にしちゃうところとか、厨二病的なセリフや言い回しも、虚勢を張ったストイックな動画スタイルだからこそ、面白さに繋がっていたようなところがあります。しかし前提になってるものを取り去ってしまえば痛々しいだけかもしれません。


 かつて信者だった奴が一番熱心なアンチになる、みたいなことを言う人もいます。アイドル実況者を批判するスタンスで信者を集めてきたわけで、自身がアイドルになってしまえば、今までそうやって集めてきた分が敵にまわるかもしれない。コツコツ敵を育ててきたようなもんです。

 視聴者の怒りを買ったという点では、ニコニコ史上でも最大レベルの事件と言っていいと思います。こんなにアンチが大量召喚されるような案件って過去にありましたっけ?

 おそらく、現在のふぅさんは、瞬間風速かもしれませんが、ニコニコ史上最もアンチを抱えているゲーム実況者でしょう。


 一方で、倫理に反することをした実況者を攻撃しよう、みたいなネットアンチの力は衰退し続けています。フィルタリングも整備されてるし、運営側はふぅを守るだろうし、そもそも人は一つのことに注目を長時間維持し続けることができません。現在トトリの実況が大荒れしてると言っても、3分くらいもすれば通常のコメントに戻るので、全然大したことない。


 でも、これは信者vsアンチの、最大で最後のお祭りかもしれない。

 ふぅという牙城が崩れ、ニコニコのリア充化が完成した一方で、ある意味ではふぅが育て続けてきたニコニコ史上最大のアンチ勢がふぅに怒りを向けるようになった。

 当事者達には失礼かもしれませんが、めっちゃ面白い!


 フル勃起したKUNがふぅを見つめていて、その間にガチムチ運営が立ちはだかる構図。



 ただおそらくは、よっぽど下手こかない限りはふぅさんの勝ちだと思います。アンチばかりと言っても、それでも支持する人のほうが数としては多いだろうし、人の怒りなんて何ヶ月も持つものではない。淡々と動画投稿してチャンネルやってれば勝ちです。自分でもさんざん言ってた通り、脳死キッズってちょろいからね!


 まあふぅさんもわりとメンヘラというか頭おかしいところがあって、チャンネル開設後のニコ生にしても、「正直お金欲しかったんや!つわはすしたかったんや!」とか言えば「まあそれはなw」とか多少はなったかもしれないのに、運営の方があーだこーだとか訳の分からない弁解しちゃったり、危うい感じがしますよね。


 どうなるかわかんないけど、個人的にはわりと応援してます。実況引退とかはしてほしくないです。