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しっきーのブログ

ひろいこころで\(^o^)/

糖質制限ダイエットの是非〜人が太ることについての残酷な真実〜

ダイエット ライフハック 本の感想

 糖質制限ダイエットなるものが流行していて、それで成功してる人も大勢いるみたいだ。

 炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素のうち、脂肪を貯めこむホルモンである「インスリン」は炭水化物に反応して出てくるから、炭水化物を摂らなければタンパク質と脂質をいくら食べても太らない! だってインスリンが出てこないんだから! ……というのが糖質制限ダイエット(炭水化物抜きダイエット)の簡単な主旨。


 これを聞いてみんなはどう思うだろうか? なにか、裏ワザというか、ちょっと良くないことをしてるんじゃないかというイメージを抱く人は多いと思う。炭水化物、タンパク質、脂質のどれもが必要な栄養素で、その一つだけを摂らないなんて人体に悪い影響が出そう……みたいな。

 今回は『ヒトはなぜ太るのか?そして、どうすればいいか』という本を読んだ。個人的には、目を塞ぎたくなるような内容のものだった。しかしかなり面白い本なので、簡単に要約していきたいと思う。

ヒトはなぜ太るのか?

ヒトはなぜ太るのか?

 本書は、ダイエット本というわけではなく、人がなぜ太るのかということについて科学的にアプローチしていく感じの本だ。


人が太るということについての迷信

 太陽が地球の周りを周回しているという天動説は、個人の実感としても納得しやすいものだっただろうし、長らく神の権威とも結びついた迷信の中にあり、それを否定する結果がなかなか受けいられなかったのも、無理はない。執拗な観測と科学的なアプローチが、その支配的なパラダイムを結局は崩すことになった。


 実は、星の軌道を観測するより、人がなぜ太ってしまうのかを正確に観測するほうがずっと難しかったりする。人が太る過程にはあまりにも多くの要因が絡んでくるし、人体実験は禁止されているからだ。

 実証実験が難しいからこそ、健康とか栄養学みたいなものは迷信が生まれやすい領域だ。そして著者は、多くのカロリーを摂取するからこそ肥満になるということも、糖分(炭水化物)が人にとって優れた栄養だということも、科学的に否定されるべき迷信だと主張する。


物理学ではなく生理学

 ダイエットについて、人が痩せたり太ったりすることについて、最も素朴に信じられている定理は、『出るカロリーよりも入るカロリーが多ければ太り、入るカロリーよりも出るカロリーが多ければ痩せる』という「エネルギーバランスパラダイム」だ。

 これは、感覚的にとてもよく理解できるし、実感も伴っている気がするので、ほとんどの人がこれで納得している。しかし、少しでも調査してみれば、このパラダイスに反する例があらゆるところで見られる。

 わかりやすいのは大食いだ。エネルギーバランスの考えを採用するなら、大食いで人気YouTuberになった木下ゆうかさんは相撲取り以上のデブでなければならない。



 つまり、人体はまだ物理学的な考えを適用すべきではなく、生理学で捉えるべきなのだ。何らかの栄養を取り入れたとき、それを脂肪として体内に保存するかどうかは、エネルギーの収支が決めることではない。人体には脂肪を貯めこむ機能があって、それが場合によっては人を肥満にする。


 人が太るかどうかの大部分は、残酷な話かもしれないが、体質に拠っている。どれだけ食べても脂肪を貯めこまない人もいれば、少食でも脂肪を貯めこむ人もいある。脂肪を貯めこんだ状態で栄養を摂取しなかったとき、脂肪が使われる前に筋肉や臓器の機能が低下する場合すらある。


食べる量を少なくして運動すれば痩せるという間違い

 入るカロリーと出るカロリーに注目する「エネルギーバランス」の考え方に従うならば、痩せるためには、食べる量を減らして入るカロリーを少なくするか、運動して出るカロリーを多くするのが真っ当な方法ということになる。

 しかし、これはほとんどの場合、成功しない。各研究を調べてみても、このような試みの成功率は著しく低い。そして、ダイエットにまつわる迷信の中で最悪なものは、怠惰で大食だからこそ太るというものだ。これはキリスト教の教えとも相まって、多くの人を傷つけ、絶望的な状況に追いやってきた。エネルギーの収支という簡単な約束すら守れない不甲斐なさの結果として、人間は太ってしまうと多くの人は考えてきたのだ。


 だが、まず第一に太る理由は遺伝など、怠惰さとは別の生理学的なメカニズムによるところが大きい。そして、生理学的な要因で肥満になってしまう人にとって、食事を制限するというのは飢餓と同等の苦しみなのだ。

 人が太るメカニズムを考慮に入れず、熱力学みたいな考え方で食事制限をしようとするダイエットはまず失敗する。もちろんこの考えに対して反論したい人もいるだろうが、できれば記事を最後まで見て欲しい。


人が太る仕組みと炭水化物

 脂肪はエネルギーを貯蔵しておく仕組みで、これは重要なものだ。しかし、肥満は脂肪を貯めこみすぎた結果ではなく、ある種の疾患として捉えられるべきなのだ。

 リスやアザラシなど、自然界において脂肪を貯めこむ必要のある動物は、少量の食事でもちゃんと脂肪を体内に蓄積する。そして、ライオンとかシマウマとかキリンとか、自然界に生きる動物はたくさん食べても肥満になることがない。(人間の近くにいる動物が肥満になる例が最近は増えているらしい)


 そもそも生理学に人はどのように脂肪を蓄えるのだろうか、ということについて本書はちゃんと説明しているのだが、それをここで書くとものすごく長くなるので手短に要点だけ。


 人間が脂肪を蓄える仕組みはインスリンというホルモンが担っている。インスリンは、人が炭水化物を摂取して血糖値が上昇することによって多く分泌される。

 インスリンは当然ながら人体に必要な機能だ、しかし問題は、炭水化物を恒常的に摂り続けることで、人によっては太り続ける連鎖が続いてしまう。

 血糖値を急上昇させる炭水化物を摂ると、インスリンが多く分泌され、インスリンは体内にたくさん脂肪を蓄えろという信号を送る。すると身体は太る準備をし始め、空腹になる。空腹になるので何か食べるが、それが炭水化物であるなら、さらにインスリンが分泌され、体内には太れという信号が響き続けるので空腹になり……というふうに、炭水化物を食べ続けることで、インスリンが脂肪を取り込み続け、また「太れ」という命令を出し続けてしまう、これは一種のバグのようなものとさえ言えるかもしれない。


 ここでは、怠惰で大食の結果として人は太るのではなく、太るからこそ怠惰で大食になってしまう、ということが起こりうる。つまり、人体が「太れ」という命令を出しているからこそ、人はものを食べてしまう。これは誘惑に負けて、という生半可なものではなく、ちょうど成長期の子供がたくさん栄養を必要とするのと同じようなことだ。

 ある種の疾患として、人体が太れという信号を出し続け、強烈な空腹を感じてしまうのに、食べるのを我慢しろというのはあまりにも酷だ。肥満を単なる努力不足として片付けてはいけない。


 それならばどうすればいいのかということで、本書は結果的に糖質制限ダイエット(炭水化物制限ダイエット)を支持するような内容になっている。食事の量を制限するのではなく、炭水化物の量を制限するべきというわけだ。


糖分(炭水化物)は人間にとって毒なのか

 インスリンの分泌量は炭水化物が決め、炭水化物を摂り過ぎたり、継続的に摂ったりすることで、人体が脂肪を必要以上に蓄えてしまうという研究結果はかなり確実性が高いと著者は見ているようだ。

 しかし、炭水化物を摂っても体質的に太らない人が多くいるということが、問題を見えにくくしてしまう。煙草を吸って肺ガンになる人とならない人がいるように、炭水化物が全員を肥満に追いやるわけではない。だからこそ、炭水化物が人を肥満にするという事実は伏せられ、肥満は怠惰の結果とされてきた。

 しかし、太りやすい体質の人もいて、そのような人たちにとって炭水化物は毒のようなものだ。


 農耕が始まったのは、人類の歴史の最後の0.5%であり、僕達の遺伝子形成に重要な影響を与えたとは考えにくい。だから人間は炭水化物を大量に摂取することに慣れていない。現代の高カロリーの食事や動かない生活で人が怠惰になっているようわけではなく、炭水化物に適応できない人が多いのだ。そして、炭水化物による肥満は、外側から見れば、あるいは当人にさえ、怠惰の結果のように映ってしまう。

 肥満には多くの悪影響があるが、すぐに人を殺すようなものではない。近年の人類は、安価で簡単で多くの快楽をもたらしてくれる炭水化物の恩恵を存分に受けてきたが故に、炭水化物への信仰のようなものを持っている。炭水化物は身体と脳の運動に欠かすことのできないガソリンで、炭水化物を摂らないとイライラして集中力が欠けて……みたいな感じで、今でこそ糖質制限ダイエットなどが注目されてきているが、長らく炭水化物否定論は退けられてきた。

 炭水化物は今も私達に多くの快楽をもたらしてくれている。アメリカの学者はずっと炭水化物を守ろうとしてきたらしいのだが、まあ気持ちはわかるw


この世のすべては あなたを追いつめる為にある

 つきつけられたのは、あまりにも残酷な事実だ。

 僕は昨日の深夜、この本を読みながら、あまりにも悲しくなって、食パンをトーストして食べた。深夜に食べる炭水化物の美味しさは筆舌に尽くしがたい。何も付けないそのままの食パンが、身体に染み入るように美味しかった。炭水化物に蝕まれた僕の身体が、何かしらの働きかけを内側からしていたのかもしれない。


 想像してみてほしい。みんなが好きな食べものはなんだろうか? 思い描いた食べものの中に、ご飯、パン、麺、砂糖が使われてはいないだろうか。これほどまで身近に使われている炭水化物が、自分にとってあまり良くないものだったとして、この事実に軽々と納得することはできない。


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 「使った分を上回るほど食べたら太る。厳しいけどこれが真理。やれやれ。」と言った甘っちょろい話ではない。「炭水化物を食べると太る」という逃げ場のない事実は、あまりにも残酷だ。


人生は不平等

 岡田斗司夫のレコーディングなどを以前ブログで取り上げたことがあるが、食事制限系のダイエットで痩せた人は多くいるだろう。ただ、著者によれば、このようなダイエットを分析すれば、結局のところ炭水化物を減らしているのだそうだ。重要なのは炭水化物の量である。

 また、炭水化物をまったく食べてはいけないというわけではなく、糖度の高いものを急に食べるとか、継続的に食べるのがいけないらしい。この塩梅は、個々人の体質によるものとしか言いようがなく、いくらでも炭水化物を食べれる人もいれば、ほんの少量の炭水化物で太ってしまう人もいる。人生は不平等だ。


食料のヒエラルキー

 みんなの健康のために炭水化物を減らしましょう。パンが駄目ならお肉を食べればいいじゃない!……みたいなことにはなかなかならない。往々にして、食料になるタンパク質を作るために、その何倍もの量の炭水化物が必要なのだ。

 ということになれば、お肉を頂点とした、食料のヒエラルキーというものが明確になってくるのかもしれない。このような事実が広まるにつれ、肉や魚のような食材の価値が、ますます高まっていくだろう。

 金持ちはタンパク質と脂質を食べて、貧乏人は炭水化物しか食べられないというのは、すでに現実だ。富裕層と貧困層では圧倒的に貧困層の肥満が多い。となれば、肥満は栄養の摂り過ぎではなく、むしろ栄養失調の一種として捉えるべきかもしれない。


 食用の虫を育ててタンパク源を確保するという昆虫食の試みも、このような流れでますます注目されそうだ。

 まあでも、大豆最強だよね。納豆とか大豆が好きなら、日本は比較的糖質制限ダイエットがやりやすい環境かもしれない。豆腐とかめっちゃ安いし、ご飯の代わりに豆腐を食べれば完璧じゃん!


まとめ

  • 太るかどうかは体質によるものが大きい
  • エネルギーバランスパラダイムは素朴に信じられやすいが迷信じみている
  • 炭水化物が人を太らせる
  • 豆腐最強


 栄養学は実証実験が難しいだけに、迷信や信仰が多い。著者のゲーリー・トーベスも、既存の多くの実験結果を組み合わせてこの結論を出したにすぎない。当然反論の余地があれば反論されるべきであって、この記事が確定的なものとは言えない。


 僕はまだ炭水化物をやめる気はないのだが(だってそんなの耐えられない!)、砂糖たっぷりのジュースやお菓子がいかにヤバいのかを確認できただけでも収穫だった。今後は白米を少なめにして、代わりに豆腐なんかを食べるようにしようかな。


美味い豆腐の話

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豆腐があればごちそうレシピ―「豆腐マイスター」のプレミアムメニュー

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