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しっきーのブログ

ひろいこころで\(^o^)/

クリス・アンダーソンの『FREE(フリー)』が必読である理由

本の感想 世の中
概要
  • 今更なんだけど、過去記事で触れたのでクリス・アンダーソンの「FREE(フリー)」について書くよ。
  • 「ロングテール」と並んで必読の書ですぞ。むしろあらゆるところで言及されているから読まなくていいくらいですな。
  • とてもざっくりと要約するけど、あくまでも僕のまとめなので気になる人は本書を読んでね。


クリス・アンダーソン「FREE」の簡単な要約。

 ウェブ業界の人でクリス・アンダーソンを知らない人はいないだろう。「WIRED」の元編集長で、「ロングテール」や「FREE(フリー)」の作者だ。

 「FREE」はけっこう内容が詰まった本だけど、ざっくりまとめてみるよ。デジタルコンテンツは無料を前提にして、そこから収益をあげるモデルを確立しないとだめという話だよ。


20世紀のフリーモデル

 20世紀から、無料で商品を配ったり、ある商品を無料にして別の商品の需要を作り出すビジネスモデルはたくさんあった。でも、「無料」というものに良いイメージはあまり持たれない。常識的に考えれば、それが一見無料に見えても、どこかでお金を払っているというのが道理だからだ。「タダより高いものはない」と言われるように、後で無料で貰ったもの以上の対価を払わされるという考え方は根強い。無料で何かを貰えるなんて詐欺だと感じる人は多いし、実際に今もそういう種類の詐欺まがいのことをしているサービスはある。

 無料のものはビジネスの導入であって、後で必ず何らかの形でお金を出さなければならない。無料をダシにして結局は金を払わせるのが20世紀の「無料」モデルということになる。


21世紀のフリーモデル

 でも、21世紀の無料モデルはその延長にはない。新しいフリーは、一部のお金を出してくれる人に乗っかって、他の大勢の人がそのサービスを無料で享受できるというものだ。そこに、大きな価値観の更新がある。

 21世紀のフリーはデジタル化によって起こった。デジタルはアナログと違い、複製する費用がほとんどゼロだ。だから、無料で皆にコンテンツを配って、その中で気に入ってもらった一部の人達から収益を回収するビジネスモデルが成り立つようになる

 旧来の価値観はフリーライダーを嫌う。「一部の人だけが費用を負担して他の人が無料で使えるなんてずるい!おかしい!」という考え方をする人は多い。それでも、現在はフリーライダーがいるからこそコンテンツが潤うという仕組みになっているサービスが多い。

 ソーシャルゲームは無課金のプレイヤーが大勢いるから課金する側も楽しい。ウィキペディアが出た当初は、記事を書く人が不当にタダ働きをして、記事を見るだけのフリーライダーが一方的に得をするサービスだから絶対に流行らないと言われていた。だが、記事を見てくれる人がたくさんいることが書く人のモチベーションになっているのだ。


 以上がデジタル化に伴う21世紀型のフリーで、デジタルデータは複製コストが0だから、コンテンツを直接売るという考えは捨てて皆に無料で配り、その中で気に入ってくれた人だけがお金を落としてくれればそれで成り立つビジネスモデルが主流になっていく

 これが複製コストのかからないデジタル時代の価値観だ。デジタルは無料というのが「前提」になっていく。ちなみに、クリス・アンダーソンの次の興味は、そのデジタル化によるフリーのモデルが製造業に降りてきた時どうなるかにあるみたい。

『FREE』著者が語る「10年後の仕事、経済」―クリス・アンダーソン 特別インタビュー



フリー時代の価値観

 フリーが主流になった時代には、「デジタルデータ=無料」という価値観が根付いて、ユーザーはコンテンツに金を払おうとしなくなる。その価値観の最先端をいってる中国(模倣は敬意の表明であり教育の基本)なんかでは、コンテンツの複製を禁止して少しでも課金しようとした瞬間ほとんどのユーザーが離れていく。無料でなければ門前払いされてしまうのだ。

 だから、フリーを前提として、それからうまく課金する方法を模索しなければならない。「クリス・アンダーソン」は本書でそういうモデルをいくつも紹介していて、本の最後のほうには「フリーミアムの戦略」とか「フリーを利用した50のビジネスモデル」という項目もある。気になるなら読んでみるといい。まあ、有名な本だからすでに色んなところで同じようなことが言われてるけどね。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

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 けっこういろいろ書いてあって、新しいメディアのビジネスモデルから、ビル・ゲイツを筆頭とするアンチ・フリーの著名人への反論など、なかなかすごいことをやってる。それはそれで面白いんだけど、重要なのは、これからのコンテンツは否応なく無料であるということを強いられるという視点だと思ってる。


 アンダーソンは、ことさらにフリーが素晴らしいことだと主張しているわけではない。

 フリーは消費者の心理にこれまで以上に強い影響を与えているのだ。だからといって、無料であれば十分というわけではない。無料のモノやサービスが有料のものと釣り合って発展する必要がある。…今日のウェブ起業家は、消費者が好きになる製品を開発するだけでは足りず、それにお金を支払いたいと思わせなければならない。フリーは最良の価格かもしれないが、それしかないわけではないのだ。

 フリーからビジネスモデルを引き出すのが簡単なわけではない。無料化によって失われてしまうものはある。だが、無料のコンテンツを規制できるわけがないし、無料のものは質が低いから云々と文句を言ってたって自分の首を締めるだけだ。

 意識の転換をするべきだ。フリーが良いとか悪いとかじゃなくて、もう実際にフリーは主要な方法になりつつあるんだから、そこをちゃんと考えとけよ、と言ってる。この視点が、本書が必読である理由だ。



関連項目