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しっきーのブログ

ひろいこころで\(^o^)/

ゼルダの伝説 風のタクト

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 ゼルダの伝説の魅力とは何だろう。手の尽くされた謎解きだろうか。爽快なアクション性だろうか。色んな武器が手に入る楽しみだろうか。奇妙で魅力的な登場人物だろうか。美しいグラフィックだろうか。心にしみる音楽だろうか。壮大な世界観だろうか。王道のストーリーとその定型だろうか。ゼルダらしい独特の様式だろうか。……その全部が、間違いなく魅力的だ。そして何より、それが一つのゲームソフトに集約されていること。それこそがゼルダの伝説シリーズの魅力の核になっている。

 そこには「空気」がある。ゲームの中にある空気感のようなものだ。雑多で、複合的で、あらゆる要素が合わさったものだからこそ、ゲームをプレイする体験を通して、ゲームの中の「空気」が深まっていくのを感じることができる。自分の体験と、ゲーム内の出来事が混ざり合い、溶け合っていくような感覚。そして、ゲームの中の「空気」が自分にとって大切なものになる。ゼルダの伝説はそういうゲームだ。


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 ゲームは総合的な芸術だと言える。グラフィックに、テキストに、音楽に、プレイヤーとのインタラクティブな要素まで計算に入れなければいけない。そして、もともと総合的なものであるデジタルゲームの中でも、ゼルダの伝説シリーズは特に総合的だ。一つの箱庭の中にあらゆる要素が詰め込まれている。凝縮されているからこそ、そこにある「空気」が表現されている。ゲームの持つ空気感を感じることができるし、それはゲームの外にまで広がっていく。一つのゲームソフトとして、そのような「空気」を生み出すことができることが、ゼルダの伝説というタイトル、すぐれたゲームの条件だと僕は思う。「ゼルダの伝説 風のタクト」は、当然、その目的、役目を十分に果たしている。しかも、従来のゼルダシリーズの追随ではなく、そこに新しいゼルダとしての表現を持ってきた。




【GC】 ゼルダの伝説 風のタクト 【OP】 - YouTube


 やはり大作ゼルダは、タイトルムービーからして特別なものを感じてしまう。風のタクトも、導入の部分からして素晴らしい。青と白の対比で表現された風と海。空を飛ぶカモメと浮かぶ雲。故郷の島から、旅に出るという予感。そして何より、流れる音楽がストーリーと深く結びついている。意味を知ってから聴くとまた違ったものを感じるだろう。


 当時、時のオカリナやムジュラの仮面のあまりの成功の故に、風のタクトをある種の冒涜だと感じた人は多かったように思う。みんな、ゲームキューブの正統な続編として、64ゼルダの延長を求めていたのだ。その気持はわかる。ただ、ゼルダスタッフはそんなに安易なことをするつもりはなかったのだろう。前作の方向性であれだけ成功をおさめておいて、ここまでチャレンジングなことができるものなのだろうか。

 ともかく、僕はこの「風のタクト」を、初代ゼルダや神々のトライフォースや時のオカリナと同じくらい革命的なゲームソフトだと思っている。


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 これでもかというくらいゼルダらしいソフトでありながら、今までのゼルダとも違う、まったく新しい感覚がした。一番の特徴は「さわれるアニメーション」と呼ばれた、トゥーンレンダリングのグラフィックだ。従来のゼルダシリーズをプレイしている者からすればかなりの驚きだったし、実際にプレイしてみてもっと衝撃を受けた。アニメチックでありながら、これまで以上にしっくりくる操作感と演出に感動した。これこそがゼルダの伝説だ!と思ってしまうくらい手に馴染む。そして、どうしようもないくらいに従来のゼルダの延長でもあった。そこにはちゃんと、ゼルダにしか表現できない「空気」がある。

 驚嘆するべきなのは、ゼルダシリーズ独特の空気感を、粗いグラフィックのかすれた部分に頼ってはいないことだ。ゼルダの深みは淡い陰影と湿り気があるからこそだと思っていたが、そうではなかった。鮮やかな色彩と光と影の明快なコントラストを打ち出した「風のタクト」の中にも、現実の風景の端々に見いだせるような、古臭く、愛おしい「空気」を感じることができた。


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 ゼルダシリーズとしての風のタクトの魅力は、何よりも、冒険に出るという感じだ。大海原へ、船で出発するあのわくわくする感覚はたまらない。箱庭ゲームには限界がある。無限に広がっているわけでもなければ、アップデートで拡張されていくわけでもない。それでも、風のタクトの海は、想像力が広がっていくように壮大になる。

 風を操り、船に乗り、一つ一つの島を冒険する。海を渡って次の島に足を踏み入れるときの感覚なんて、筆舌に尽くしがたいものがある。これこそが冒険だという気がする!もちろん、着いた先での人々との交流も、起こる出来事も、期待を裏切らないほど楽しい。

 主人公のリンクをはじめ、キャラクターの仕草や表情が豊かなのがいい。敵だってコミカルで可愛らしい。世界が鮮やかで、いきいきと躍動している。風にそよぐ草木や、振動をたてるとぐらついたり割れたりする食器なんかのオブジェクトまで、細部にこだわられている。アクション時のモーションや演出が小気味いいほど完成されている。ダンジョンのギミックも申し分ない。シナリオも、前作までの情報を踏襲しているという点で、ものすごくよくできている。

 登場人物一人一人のエピソードや人柄は、アニメーションの表現もうまく手伝い、温かみがあって愛おしい。そして、ゼルダシリーズらしく、切なくもある。繰り返される歴史があり、別れがある。何度も言葉をかわすわけでもない、冒険のほんの片隅にあるものだからこそ、それの気持ちがわかるし惹きこまれる。ゼルダの伝説という一つの壮大な叙情の中に、登場人物それぞれの想いがある。賢者たちや、歴代の悪役ガノンドロフも、個人的な独特の哀愁を持っている。


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 一見ポップであり、すぐれたエンターテインメントでありながら、世界の描写があまりにも美しい。日が暮れて朝がくる時間の巡りや、遠いようで近い水平線や、島の生活感や、あらゆる含みを持った風。その空気感は、他のゼルダにも、他のどんなゲームにも出せない。

 「風」や「海」を主軸に世界観を組み立てようとするとき、確かに従来のゼルダのグラフィックでは表現できないだろうと思う。「風がはこんだ冒険」は、風のタクトのようでしかありえなかった。ハイラルが封印された後の世界で、海を舞台にしたことは、間違いなく一つの発明だろう。


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 風のタクトというソフトが世に出たことによって、ゼルダの伝説はそのシステム、シリーズとしての特徴を揺るぎないものにしたのではないだろうか。トゥーンでもゼルダを作れたというのは、衝撃的なことだ。風のタクトが道を拓いたからこそ、後の「ふしぎのぼうし」や、DSゼルダシリーズへと繋げることができたし、一度コミカルな形にすることによって得たアクションの心地よさは、後の「トワイライトプリンセス」や「スカイウォードソード」に続いていく。

 去年、WiiUでHD版の風のタクトが発売された、リメイク前よりさらに遊びやすく、映像も綺麗になっているので、やったことがある人もない人もぜひおすすめだ。感心したのは、グラフィックが美麗になってもなお、その深みが失われていないことだ。むしろ一層、風のタクトとしての空気感を感じられるようになっている。光と影の対比や、青い海の鮮やかさや、広がりを持った遠景がより見事になっている。風のタクトの表現がどれほど揺るぎないものだったかを示した結果だと思う。ゲームパッドで遊べるのもいいし、ミーバースのチンクルボトルも楽しい。写真をとったりフィギュアを作ったりと、満載の遊び心を余すことなく楽しめる。色んなゲームがあるけど、本当の冒険をした!と心から感じるゲームは稀だ。風のタクトはその期待を絶対に裏切らないだろう。


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関連項目

ゼルダの伝説 時のオカリナ

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面

ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス

ゼルダの伝説 スカイウォードソード

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