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しっきーのブログ

ひろいこころで\(^o^)/

1日1冊本を読む僕がおすすめの小説を10冊選んだ

おすすめ 本の感想

おすすめの小説を10冊紹介していきます!!1960年以降から最近までの日本人作家の作品を選びました。古いものから順番に並べていきます。面白い小説や読み応えのある小説を探している方、よろしければ見ていってください!!


砂の女

1962年、安部公房

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

 世界二十数ヶ国語に翻訳された、日本に留まらず世界の文学史上に残る名作。古い作品だが今でも有名なので読んだことのある人は少なくないだろう。前衛的なシュールレアリズムの印象が強い安部公房だが、この「砂の女」は徹底的なリアリズムで書かれている。

 休暇を利用して昆虫採集のために海岸に出かけた教師の男が行方不明になった。男は村の人々に騙され、砂に埋もれていく一軒家に閉じ込められてしまう。夫を亡くした女をあてがわれ、村のために砂掻きの仕事に従事させられる。砂穴の中で行われる労働、女との性交、脱走への試みを、綿密な筆致で描き出す。読むだけで不快になるくらいの砂の描写と、スリル溢れる男の行動と葛藤。50年以上前に書かれた作品だがまったく色あせていない。純文学はここまで面白いのかと思わされる。絶対に読んでおきたい、価値観を揺るがされるほどの圧倒的な作品。



楡家の人びと

1962~1964、北杜夫

楡家の人びと 第1部 (新潮文庫 き 4-57)

楡家の人びと 第1部 (新潮文庫 き 4-57)

 かなりの分量がある長編小説だが、読む価値は絶対にある。1962年から64年にかけて、雑誌「新潮」で連載されていた。作者は「どくとるマンボウ」を書いた北杜夫で、作品の名前からも「トーマス・マン」の「ブッデンブローク家の人々」の影響を受けているのがわかる。(トーマス・マンもすごくおすすめの作家で、魔の山とか絶対に読んでおいたほうがいいよ)

 本作は北杜夫が実際に生まれ育った青山脳病院をモデルにしている。一代で大病院を築き上げた院長、楡基一郎とその家族たちの群像小説。大正から昭和にかけて、東京大震災から終戦まで、運命に抗えず没落していく一家と病院を、独特のユーモアとディティールへの愛情を込めて綴る。「時代」と、「生活」と、「人々」が描かれている。当時の生活や人々の心情がわかるし、日本人ならどこか懐かしいものを感じてしまうはずだ。かなり長い小説なんだけど時々読み返してしまいたくなるくらい、暖かく親しみの持てる作品。三島由紀夫が、戦後に書かれたもっとも重要な小説の一つでこの作品で日本人は真に市民的な作品をはじめて持った。と絶賛したエピソードがよく引かれるけど、たしかにその通りなのかもしれない。ぜひ読んでください。



抱擁家族

1965年、小島信夫

抱擁家族 (講談社文芸文庫)

抱擁家族 (講談社文芸文庫)

 作者は「アメリカン・スクール」で芥川賞を受賞した小島信夫。この作品で第一回谷崎潤一郎賞を受賞した。1965年に書かれた小説で、もちろん当時の文化や価値観を背景にしている。2014年の今から見ればまったく別の世界の話なんだけど、それでも作品の持っているリアリティと悲哀に心が締め付けられるような所がある。

 主人公の三輪俊介は英文学を専門にする大学講師兼翻訳家のインテリ。妻の時子が、アメリカ人の居候であるジョージと事に及んだことを家政婦に告げ口されるところから物語が始まる。家政婦や居候が当たり前だった家庭は今の僕たちの感覚とはちょっと違うんだけど、家庭というものに対する主人公の男の苦悩がグサグサと心に刺さる。客観的に見れば滑稽な数々の行動が、吐き気を催すほどの生々しさを持っている。

 最近流行り?のNTRものと言ったわけでもなく、主人公はもうそれなりの歳なので、妻がアメリカ人と寝たという事実も踏まえて家庭を立て直そうとする。日本とアメリカという当時ありがちなテーマに思える作品だけど、もっと多面的な広がりを持っていることは読めばわかる。有名な小説なので色んなところで論じられてもいるし、読んでおいて絶対損はない。そんなに長くないので気軽に読めるはず。癌の治療の為に男性ホルモンを打って髯が生えた妻と身体を重ねるシーンは壮絶。



万延元年のフットボール

1967年、大江健三郎

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

 僕は別に大江健三郎が好きではないし愛読しているわけでもないのだが、読んでおかなければいけない小説はいくつかあると思う。初期の「死者の奢り」や「飼育」なんかを読めば、彼が一流の苦悩と狂気を持っていることがわかると思う。短いので多分そっちから読んだほうがいい。いきなり万延元年を読むのは厳しいかもしれない。それほど重厚で棘々しい作品。

 重度の精神障害の子を持ち親友を自殺で失った密三郎は、アルコール依存の妻と安保闘争に挫折していた。弟の鷹四に誘われ、自分たちのアイデンティティを探るために四国にある故郷の村に帰る。鷹四は連れてきた仲間の青年と村の若者たちとでフットボールチームを形成する。

 物語は複雑で難解なので、筋だけを追ってもあまり意味がないかもしれない。雰囲気が重々しく、気軽に楽しんで読めるものでは決してないが、挑戦してみてもいいと思う。もともと日本の大多数の人間は「村」に住んでいたのかだろうという強烈なイメージが突きつけられる。価値観が揺さぶられるほどの傑作。戦後で最高の小説だと評する人もけっこういる。



旅のラゴス

1986年、筒井康隆

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 僕は筒井康隆が大好きなのだが、その中でも一番好き作品はこれ!短い小説だが本当にすごい!ラゴスという一人の男の人生を綴った物語。文明を失った代わりに、人々が集団移動や壁抜けなどの超能力を獲得した世界。ここらへんのSFファンタジーっぽさは筒井康隆らしいが、この作品は彼の書いたものの中でも少し異質かもしれない。(筒井康隆の小説はどれも異質なのだが)だた、これこそが筒井康隆の本領だと言う気もする。

 主人公のラゴスはひたすら旅を続ける。一人の男の長い人生を追うことになる。奴隷商につかまって鉱山で働かされたり、図書館に閉じこもって本を読みまくったり、一国の王になって二人の美少女と結婚したり、かと思うとまた奴隷にされてしまったり、故郷に帰ると高名な学者として迎え入れられたりする。どんな酷い目にあっても、どれだけ良い地位を手に入れても、ラゴスは旅をやめない。その生き方、旅に対する徹底した執着が、ある種の叙情となって心を打つ。

 とくに恐ろしいのはその時間感覚で、一人の人間の生涯が、人生の愉悦と悲哀が長大な時間の感覚として作品に詰め込まれている。読み終わると一人の男の長い人生を生きた気がする。短編をつなぎあわせた短い作品でこんなことができるなんて信じられない。すぐに読み終わるので普段本を読まない人にも自信を持っておすすめできる。



哲学者の密室

1992年、笠井潔

哲学者の密室 (創元推理文庫)

哲学者の密室 (創元推理文庫)

 僕はあんまり推理小説に詳しくない。読み始めれば面白いことがわかっていてもなかなか手が伸びないんだよね。個人的には文章そのものが楽しめるものが好きだから、できれば謎解き以外でも見るべきところがあるとありがたい。その点でこの本は素晴らしいと思う。

「哲学者の密室」は、現象学を駆使する哲学的な探偵「矢吹駆シリーズ」の第4段にあたる。前作を知らなくても普通に読める。(過去作に関する言及も出てこないことはないが)推理小説はわりと偏屈な世界だと思っているのだが、どうせやるならここまで本格的にやるべきだと感じさせられる。とにかく分厚く、ストイックで、難解な思想を扱っている。

 閉口部を完璧に閉ざされたダッソー家で、滞在客の死体が発見される。現場に残されたナチス親衛隊と死体の謎を追ううちに、事件は三十年前の三重密室殺人事件、そして20世紀最大の哲学者とも言われるハイデガーの思想遍歴とも繋がっていく。「密室」の問題はナチス強制収容所という問題になり、どうしてハイデガーほどの思想家がナチスに加担することになったのか、という問題でとも関わってくる。ちゃんと読者を納得させるだけの仕掛けと謎解きを持ちながら、背景には難解な思想がある。ジャンルに関係なく、ここまでの本を書けるのは相当のことだと思う。

 長い小説なので、読み通すには骨が折れるが、最後のほうはほとんど読むのが止まらなくなるくらいミステリーとしての加速度を持っていると思う。時間と知的好奇心があり、どっぷり推理小説と思想の世界に浸りたい人におすすめの小説。



残虐記

2004年、桐野夏生

残虐記 (新潮文庫)

残虐記 (新潮文庫)

 作者は「東京島」や「グロテスク」などの桐野夏生。彼女の作品を見ると、女は怖い!と心底思ってしまう。「グロテスク」は「東電OL殺人事件」を題材にして描かれたが、この「残虐記」は「新潟少女監禁事件」にヒントを得ている。

 25歳の男に誘拐され、1年間部屋に監禁されていた少女の話。大人になり、作家として当時の体験を言葉にする力を得た彼女は、事件の記録を手紙に書き残して失踪する。モデルになった少女は実在するわけで、それを小説の形で書いたことに対してかなり問題になった。それでも、この小説がただの話題性を狙ったものでないことは断言できる。圧倒的なクオリティーと桐野夏生のみに許された独特の世界観を持っている。

 少女の監禁という日常とはかけ離れた体験を、現実を凌駕するほどのリアリティで描く。虚構も現実もないまぜになったところで、小説としての独特のリアリティを持っているという点で、彼女にしか書けない稀有な作品だと言えると思う。かなり怖いので、度胸のある人だけ。



半島を出よ

2005年、村上龍

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

 村上龍の最高傑作だと断言できると思う。壮大なシミュレーション小説。ジャパンマネーが通用しなくなり世界に影響力をなくした日本では、ホームレスの数が増し続け人々が希望とプライドを失いつつある。みたいな、村上龍独特の世界観が前提。「半島を出よ」の半島とは朝鮮半島のことで、北朝鮮は国内の反乱分子に対処するために日本に兵隊たちを送り込む。福岡ドームを数人に占拠された政府はなすすべもなく、日本が大混乱に陥るなかで、世間から見放され狂気を内に秘めた青年達が立ち上がる。

 それほどリアリティがあるとは思えない。まず前提条件がよくわからないし、「北朝鮮にこんなコマンドいるのかよwww」とも思う。ただ、ここまでの重厚で綿密な社会を描き出したという点で、だれも村上龍をバカにできないと思う。今あるものとは別の平行世界を一から作り上げているという感すらある。まともな神経の人間にはできないであろう圧倒的な仕事。尊敬せざるを得ない。

 特に、社会から迫害されていた人間たちそれぞれの描写には胸が熱くなった。そこが村上龍の真骨頂だし、彼らがもたらす終盤のカタルシスまでうまく繋ぐ構成も見事。膨大な分量を一気に読ませる文体も凄まじい。単純に読んで面白いし、この小説から学べることはたくさんあると思う。



恋文の技術

2009年、森見登美彦

恋文の技術 (ポプラ文庫)

恋文の技術 (ポプラ文庫)

「四畳半神話大系」や「有頂天家族」がアニメ化されたので森見登美彦の小説を読んだことがある人はたくさんいると思うけど、その中で僕が一番好きなのが「恋文の技術」。書簡体小説という形式で、誰かと誰かが手紙のやり取りをして、その文面だけで物語が進んでいく。

 教授の命によって京都の大学から人里離れた能登半島の実験所に飛ばされた大学院生守田は、「文通武者修行」と称して友人や先輩、妹や家庭教師をしていた少年に手紙を送り始める。もちろん、現代に生きる若者がまともに文通なんてできるわけもないので、独特のパロディやユーモアや悪ふざけを込めた森見の文体でしか成りたたない世界の話だ。手紙を書くときの恥ずかしさ、いじらしさ、わくわくするような気持ちが読者にも伝わってくる。守田はいろんな人との文通を楽しむが、意中の女の子にはなかなか手紙を出すことができない。守田が最後に書いた手紙は、読者である自分が手紙を出している気がして、胸が締め付けられる思いがした。そうそう、こういうのが手紙なんだよ!と思った。

 モバイルフォンがここまで普及する世の中でこんな話を書けるなんて、まさに森見登美彦の面目躍如。メールの送信すら面倒くさいと感じる筆不精な僕でも手紙を書きたくなった。読みやすい作品だし、他の森見作品を知らない人にもぜひ読んで欲しい。



恋する原発

2011年、高橋源一郎

恋する原発

恋する原発

「ジョン・レノン対火星人」や「さようなら、ギャングたち」を書いた高橋源一郎。意味不明なんだけど、なんだかんだで今まで出た作品は読んできている。小説に命をかけてる感じがして、けっこう好きな作家だった。

 「恋する原発」は、東北大震災の被災者に義援金を寄付するため、震災支援チャリティーAVを作ろうとする監督が現代ニッポンのモラルに立ち向かう話。高橋源一郎作品らしく、めちゃくちゃで理解不能。単純な感想を言えば、あの歳になってこんなもの書けるのってすげえ、ということだ。AVとかすごく詳しいし。

 この作品に対する評価はいろいろあっていいと思う。不謹慎だと憤っても、ただふざけているだけだと切り捨ててもまったく構わないと思う。この小説を書くということが、作者の言葉にならない怒りの表明なのか、自由の模索なのか、震災をだしにそれっぽいことを書いているだけなのか、それはわからない。ただ、こういう作品を書くような奴が今の日本に一人はいてよかったな、とは思う。



反省会


 漫画やゲームではおすすめの作品ベスト100を選んで、しかもランキング形式にしたのだが、小説はそこまでの知識がない。もっと色んな作品を読みたいなあ、と思っているのだが、なかなか本一冊読むのにも時間がかかるよね。ただ、おすすめのものを10冊選ぶというのはなかなか気楽でいい。あくまでおすすめの本であって、好きな本とは違う。僕は村上春樹とか司馬遼太郎とか三島由紀夫が好きな人間なんだけど、まあ薦めるまでもないかな、と思った。本当は「ノルウェイの森」とかが大好きです。別におすすめはしないけど。


 基本的に、僕は読む本に困ることがない。というのは、教養とされている、読んでいるのが当たり前といった本で未読のものが多すぎるからだ。純粋に娯楽を得たいなら無理せずに漫画か映画を見たほうがいいし、本を読む人は何かしら面白さ以上のものを求めているのだと思う。そういう考え方からすれば、古典作品とされるものははずれがないし、なかなか読み終わらない。難解な本を手に取るなら読書が他に比べて一番安価な楽しみだというのは疑いようがないし、貧乏でも本さえ読んでいれば幸せなので、本好きという特性はなかなか素晴らしいものかもしれない。

 最近は海外文学とSFの古典をずっと読んでいて、なかなか今流行りの小説には手が向かない。別に今出版されているものが古典作品の完全劣化だとは思わない。今の作品は今の作品で見る所があるし、ここで紹介したように素晴らしいものもたくさんある。比較的読みやすいし、距離が近いというのは大事なことだとも思うので、現代小説を読むのも全然悪いことじゃない。


 あと、1日1冊本を読むとタイトルにあるが、あれは嘘だ。1日1冊読むぞ!と意気込んで実際にそれをやっていたこともあるんだけど、本当にいい本は1日じゃ読めないというのがやってみての実感だった。じゃあなんでそんなタイトルにしたのかと言うと、はてなブログっぽい様式に則ってみたのです。ごめんなさい(´・ω・`)



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