しっきーのブログ

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新・百人一首

 「小倉百人一首」は、日本人なら誰もが知っている通り、藤原定家が京都の小倉山で、百人の歌人の和歌を一人一首ずつ選んでつくったものだ。藤原定家以外にも「百人一首」を試みた人はいたが、普通「百人一首」と言えば定家の「小倉百人一首」のことを言う。本書「新・百人一首」は、現代の歌人である岡井隆、馬場あき子、永田和宏、穂村弘の四人で近代から現代の短歌ベスト100を選んだものだ。

 

新・百人一首 近現代短歌ベスト100 (文春新書)

新・百人一首 近現代短歌ベスト100 (文春新書)

 

 

 非常に面白い試みだと思う。当然、選ばれた歌人には錚々たるメンツが揃っている。僕も短歌は結構好きだが、これは選んで当然だと思うやつもあれば、ちょっとよくわからないものもほんの少しだがあった。欲を言えば、どうせなら選ぶだけではなく解説をもっとしっかり書いてもらいたいと思った。どうしてこれを選んだのか、この歌のどういうところに惹かれたのか、そういう部分をもっと読みたかった。座談会で言われていたことだが、誰を100人選ぶかはもうほとんど意見が一致して、後はその人が詠んだどの歌を選ぶのかが難しいらしい。

 せっかくなので、僕も「新・百人一首」の中から、自分の感覚で良いと思った歌を五つ選んでみることにした。

 

 

 

 

君かへす朝の舗石さくさくと

雪よ林檎の香のごとくふれ          北原白秋

 

 

 

 

 

帰り来るを立ちて待てるに季(とき)のなく

岸という文字を歳時記に見ず          皇后美智子

 

 

 

 

 

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし

身捨つるほどの祖国はありや          寺山修司

 

 

 

 

 

人あらぬ野に木の花のにほふとき

風上はつねに処女地とおもふ          今野寿美

 

 

 

 

 

名を呼ばれしもののごとくにやはらかく

朴の大樹も星も動きぬ          米川千嘉子

 

 

 

 

 

 正直、五つ選ぶのはなかなか胸の苦しい作業だった。どの歌も、よく咀嚼してみれば、やっぱり良くて、結局どの歌を選ぶのかということは個性の問題になってしまうのかもしれない。でも、自分ならどの歌を選ぶか、と考えるのはなかなか楽しくもあるし、ゲームのステータス振り分けに頭を悩ましているくらいなら、自分の好きな短歌を探したり選んだりしたほうが文化的でいいかもしれない。

 「短歌」という形式があれば、百人一首など、遠い過去の人の気持ちにもアクセスできるし、そう考えると、日本は本当にすばらしい文化を持っていると言うほかない。歌を詠む文化の流れは、今ではツイッターが引き継いでいると思う。日本人は世界的にもツイッターが大好きらしい。ツイッターの上に乗っかる形でもいいから、また短歌を詠むのが流行ればいいなあ、とか思ったりもする。詠むのもいいし、選ぶのも楽しいだろう。どうせなら、自分が死ぬまでに、過去から現在までのあらゆる短歌の中から自分の「百人一首」を編纂したい。そういう遊びができるのってすごく贅沢だし、幸福なことだと思う。